俳優の権利と危機管理

アクターズ・コース講師陣

今、俳優の仕事は多岐に渡っています。映画、ドラマ、広告、演劇、ナレーション……。事務所に所属している俳優も、フリーで活動する俳優も、最終的には自分の身体と心をさらけだして、ある作品世界の創造に寄与していきます。だからこそ、その仕事の過程、表現の領域で起きる種々のトラブルは、俳優にとってダイレクトに心身を傷つけかねないリスクを負っています。自立した俳優としてその仕事を長く楽しく継続していくために必要な知見をシェアしていきます。

演技レッスン

近藤強(俳優/青年団所属) 

「演技はリアクション、段取り芝居しないなど、分かるようで実はよく分からない演技の基礎について考えます」

ビューポイントという俳優のための動きの即興テクニックを紹介します。ビューポイントはモダンダンスの訓練法を米国人演出家が俳優向けに発展させたものです。様々なエクササイズを通して、自分の身体、共演者、環境への気付きを増やし、共演者/環境に反応すること、俳優としてその場にいることの可能性を探ります。

兵藤公美(俳優/青年団所属)

「俳優が魅力的にみえる瞬間とはどういう姿なのでしょうか」

目に見える特徴を表現すること、別人に見えるよう工夫することでしょうか? 俳優はどのように考えて、演技をすればいいのでしょうか。演劇の仕組みを日常生活に当てはめながら俳優の作業を探っていきましょう。

山内健司(俳優/青年団所属)

「他者のほうへ」

俳優は他者の言葉をしゃべる仕事だと思います。この世界のほぼ全ての言葉は自分の言葉ではない。他者の言葉を自分の言葉と思い込むことが俳優の仕事とはどうしても思えません。自分自身の言葉とどのくらい距離があるのか、なぜかくも距離があるのか、ここへの関心、興味は、すなわち他者への関心、興味です。これは尽きることなく楽しいことですが、これを仕事として、新鮮に喚起し続けることは生半可なことではないとも感じます。それが俳優の技術の根っこだと思っています。

映画創作ワークショップ

深田晃司(映画監督)

映画にとっていい俳優とは、カメラの魅力的な被写体であることかもしれません。しかし、魅力的な被写体というだけであれば、監督にとってそれは、素人でもいいし、それこそ水でも火でも風に揺れる木々でも構わない。優れた俳優にしかできないこと、それは俳優自身が脚本を、作品を主体的に解釈し考えることのできる被写体になるということです。このプログラムでは、簡単な創作と、それを参加者自身が演じ撮影することで、カメラと俳優の撮る/撮られる関係性を再確認していきたいと思います。

自主映画レッスン

古澤健(映画監督)

デジタル時代になり「映画」の制作・上映は飛躍的に身近なものになりました。それは、これまで以上に俳優が自分の表現として「映画」を作る可能性が広がったことを意味します。「映画」を作る俳優へと至る第一歩として、果たしてカメラは演技を正確に記録する道具なのか、演技を変質させるものなのか、あるいは共演者なのか……考えてみましょう。それぞれがカメラを使って、遊んでみる講義になります。

映画演技実習(ミニコラボ実習)

万田邦敏(映画監督)、大工原正樹(映画監督)、他

短編映画に出演することで、映画の演技を学ぶ実習です。また、フィクション・コースとのコラボレーション実習でもあります。プロの映画監督である、フィクション・コース講師が監督する短編映画に出演します。また、スタッフをフィクション・コース初等科生が務めるので、映画の演技を学びながら、他コースと交流ができるプログラムです。

演劇創作ゼミ

平田オリザ(劇作家・演出家・青年団主宰)

「全員が台本作り、演出、出演に関わり、戯曲の基本的な構造の理解を深めます」

俳優育成ワークショップ生が他コースの受講生と、5~8名程のグループに分かれ、約1ヶ月かけて、15分ほどの一幕もの(場面や時間の移動がない)の演劇作品を作ります。全員が、台本作り、演出、出演にかかわり、戯曲の基本的な構造の理解を深めながら、演劇創作を体験します。この創作の経験者より、近年連続して岸田國士戯曲賞受賞者を輩出している、確立されたプログラムです。

1回目:9月25日(火)19:00~
2回目:9月26日(水)19:00~
3回目:9月27日(木)19:00~  ※各コマ2時間程度を予定、上記の他に班ごとに戯曲制作の時間があります。
4回目:10月15日(月)19:00〜
5回目(発表):10月16日(火)19:00〜

 

修了公演

半年間のカリキュラムの終わりに、演劇公演を行います。今後に続く修練の入り口にしっかりと立ち、皆でひとつの作品世界を立ち上げます。自分で課題を発見して演技に取り組む、「自分でつくる」姿勢をもつことが目標です。約1ヶ月半の稽古期間をかけてリアリズムの作品に取り組み、ここまではモダン、ここから先がコンテンポラリーという淵にまで、俳優たちと行くことができればと思っています。