掲載のカリキュラムは2019年度のものとなります。2021年度は5月末に発表予定です。(2021/5/15 映画美学校事務局)

俳優の権利と危機管理

アクターズ・コース講師陣

今、俳優の仕事は多岐に渡っています。映画、ドラマ、広告、演劇、ナレーション……。事務所に所属している俳優も、フリーで活動する俳優も、最終的には自分の身体と心をさらけだして、ある作品世界の創造に寄与していきます。だからこそ、その仕事の過程、表現の領域で起きる種々のトラブルは、俳優にとってダイレクトに心身を傷つけかねないリスクを負っています。自立した俳優としてその仕事を長く楽しく継続していくために必要な知見をシェアしていきます。

演技レッスン

近藤強(俳優/青年団所属) 

「『演技はリアクション』『段取り芝居をしない』など、分かるようで実際には何をすれば良いのかよく分からない演技の基礎について考えます」

ビューポイントという俳優のための動きの即興テクニックを紹介します。ビューポイントはモダンダンスの訓練法を米国人演出家が俳優向けに発展させたものです。様々なエクササイズを通じて、自分の身体/共演者/場への気付きを増やし、能動的に動かされることについて考えます。

兵藤公美(俳優/青年団所属)

「俳優が魅力的にみえる瞬間とはどういう姿なのでしょうか」

目に見える特徴を表現すること、別人に見えるよう工夫することでしょうか? 俳優はどのように考えて、演技をすればいいのでしょうか。演劇の仕組みを日常生活に当てはめながら俳優の作業を探っていきましょう。

山内健司(俳優/青年団所属)

「他者のほうへ」

俳優は他者の言葉をしゃべる仕事だと思います。この世界のほぼ全ての言葉は自分の言葉ではない。他者の言葉を自分の言葉と思い込むことが俳優の仕事とはどうしても思えません。自分自身の言葉とどのくらい距離があるのか、なぜかくも距離があるのか、ここへの関心、興味は、すなわち他者への関心、興味です。これは尽きることなく楽しいことですが、これを仕事として、新鮮に喚起し続けることは生半可なことではないとも感じます。それが俳優の技術の根っこだと思っています。

映画創作ワークショップ

深田晃司(映画監督)

映画にとっていい俳優とは、カメラの魅力的な被写体であることかもしれません。しかし、魅力的な被写体というだけであれば、監督にとってそれは、素人でもいいし、それこそ水でも火でも風に揺れる木々でも構わない。優れた俳優にしかできないこと、それは俳優自身が脚本を、作品を主体的に解釈し考えることのできる被写体になるということです。このプログラムでは、簡単な創作と、それを参加者自身が演じ撮影することで、カメラと俳優の撮る/撮られる関係性を再確認していきたいと思います。

短編映画レッスン

古澤健(映画監督)、竹内里紗(映画監督)

デジタル機器の普及によって、いまや誰もが映画づくりを気軽に行えるようになったように思われています。しかし「撮影」や「録音」がイコール「映画づくり」というわけではありません。「映画づくり」という営みは、俳優とスタッフが出会ったその日から始まります。そしてその組み合わせ毎に、我々は「映画づくり」を再発明していかなくてはなりません。古澤・竹内が監督としてみなさんと一緒に短編映画を作る、という実践を通じて、「映画づくり」とはなんなのか、ということを一緒に考察したいと思います。

演劇創作ゼミ

平田オリザ(劇作家・演出家・青年団主宰)

「全員が台本作り、演出、出演に関わり、戯曲の基本的な構造の理解を深めます」

俳優育成ワークショップ生が他コースの受講生と、5~8名程のグループに分かれ、約1ヶ月かけて、15分ほどの一幕もの(場面や時間の移動がない)の演劇作品を作ります。全員が、台本作り、演出、出演にかかわり、戯曲の基本的な構造の理解を深めながら、演劇創作を体験します。この創作の経験者より、近年連続して岸田國士戯曲賞受賞者を輩出している、確立されたプログラムです。

①12月23日(月)19:00~②12月24日(火)19:00~ ③1月7日(水)19:00~ ④1月21日(火)19:00~(ゲネプロ/講義なし)⑤1月22日(水)19:00~(発表)
※各コマ2時間程度を予定、上記の他に班ごとに戯曲制作の時間があります。

修了公演

本橋龍(劇作家・演出家/ウンゲツィーファ主宰)

半年間研鑽を積んだ集大成として、新進気鋭の演出家を招いての修了公演を行います。「作れる俳優になる」ため、演じるだけではなく、自分たちで場を作り、人に届けるまでの全てを行います。

motohashiはじめまして。「演劇」をやってるものです。
アクターズ・コースは舞台、映像問わず俳優を養成する場らしいですね。修了過程として創作する演劇の、脚本と演出という役割を僕が担うようです。
正直僕には演技の上手い下手はよくわかりません。リアリティがあることが良いのか、声が綺麗なのが良いのか、笑えるのが良いのか、其々あって良い筈です。全部兼ね備えてる人が良いとしたら、何も備えてないって人も必要だと思います。そういう人達の中から僭越ながら「選ぶ」ということが僕の役割だと思っています。「選ぶ」というと高圧的かもですが、選ぶにはまず選ばれなきゃなので、僕はどうすれば「選ばれるか」をいつも考えています。それはきっと技術とか経験とかお金とか、そういうことを超えてもっと言葉にできない、縁だとかタイミングだとか。時間だとか気温だとか。夢だとか恋だとか。そういう豊かなものの中にあると信じてる。半年間の学校生活の中で、入学を「選んだ」人達と。僕はその時間から物語や感情を僭越ながら「選びとり」、作品にできたらな、と思ってるんです。