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映画美学校は、シネマテークの活動や各種映画祭への製作サポートを通して世界の映画を紹介してきたアテネ・フランセ文化センター(1970年創立)と、アート系映画の製作、配給、上映を行なってきたユーロスペース(1982年創立)との共同プロジェクトとして1997年に発足し、2000年4月に東京都からNPO(特定非営利活動法人)に認証されました。

映画美学校は、シネマテークやミニシアター、あるいは映画祭で多様な映画を鑑賞し、独創的な表現を切り開いてきたインディペンデントな映画作家と上記の2団体のコラボレーションから生まれた映画制作のための工房であり、全くの初心者が実践的に映画づくりを学び、それを専門的に発展させることができるプロダクション機能を持った教育機関です。

映画美学校には、映画制作を学ぶフィクション・コース、およびドキュメンタリー・コース、外国映画の翻訳を学ぶ映像翻訳講座、映画普及ためのマネージメントを学ぶ映像メディア・キュレーター養成講座があります。そして、2011年5月からはアクターズ・コース、脚本コース、2012年7月に批評家の育成を目的と下批評家養成ギブスが開講いたしました。いずれのコースも、昼間に仕事がある社会人やダブルスクールとして受講を希望する学生など多様な人材に門戸を開くため、講義は平日の夜間、あるいは土曜日、日曜日に行なわれています(脚本コースは昼間のコースも開講いたします)。

映画美学校の講義は実習を中心にしています。身体を動かしながら映画のことを考えるーこれが映画美学校カリキュラムの基本的なコンセプトです。これまでにフィクション・コース、ドキュメンタリー・コースをあわせて220本を超える映画が生まれ、一般公開されてきました。また過去13年、カンヌ映画祭シネ・フォンダシオン部門をはじめ、海外の映画祭に14作品が招待されるなど国際的にも注目を集めてきました。

講師と受講生とのコラボレーションによる映画製作も同時に行われています。1999年には塩田明彦監督『どこまでもいこう』(1999年度文化庁最優秀映画大賞)、黒沢清監督『大いなる幻影』(1999年ヴェネツィア映画祭招待作品)の2作品が、ユーロスペースとの共同プロデュースにより製作され、日本の映画界や海外の映画祭で大きな話題となりました。それ以降も佐藤真監督の『SELF AND OTHERS』(2000)や青山真治監督の『AA』(2005)などユニークなドキュメンタリー映画が生まれるなど、講師と受講生によるコラボレーションが大きな成果を上げています。

映画美学校には、修了生の劇場用映画デビューをサポートする映画美学校スカラシップ、修了生の自主制作映画に公開の機会を与える映画美学校映画祭、講師と受講生がテーマを設定して映画表現を模索する研究科など様々な支援制度があります。そういった環境の中で、現在も多様な映画制作が進行中です。また、多くの映画美学校修了生が、監督として、あるいは制作のスタッフとして、日本映画の様々なシーンで活躍しています。