アクターズ・コース 俳優養成講座2025 募集要綱

演技レッスン

担当講師:近藤強 

「動くんじゃなくて、周りに動かされる」

シアターゲームなどを交えながら、ビューポイント(Viewpoints)という演技トレーニング方法を紹介します。ビューポイントでは、演技を時間的要素(長さ、テンポ、反応、繰り返し)と空間的要素(関係性、身体、ジェスチャー、建築など)に分けて考えます。全8回の講義を通してこれらの要素1つ1つについてじっくりと学びます。演技をする時に相手役、台詞、環境(相手との距離や空間)などに刺激されて動ける身体作りを目指します。

担当講師:兵藤公美

「はじめての劇」

日本語のテキストを使用して、人間の生理や批評的観点で演技を構築していく技術をトレーニングをしていきます。台本の読み取り、セリフの取り扱い、身体のコントロール、空間の使い方のスキルアップを目指します。

担当講師:竹中香子

「ちょっとだけ”めんどくさい”俳優になる」

俳優が他人を演じるということの「できなさ」を知覚するところからスタートし、クリエーションに挑む「態度」を模索していくことが目的です。さまざまなスタイルや価値基準が交錯する現代演劇において「いい俳優」を一概に定めることは不可能に近いと思いますが、創作プロセスの中には、「いい俳優」は存在すると考えています。創作プロセスにおいて、ひとりで苦しみを抱えて我慢するのではなく、他者と協働し、状況を突破していくこと。そして、その解決策は、大概の場合、コミュニケーションにある。私自身が、フランスの国立高等演劇学校と演劇教育国家資格取得の過程で学んできたことを発展させ、創作の現場における「いい俳優」、わたし流にいうと、ちょっとだけ”めんどくさい”俳優になるための講義です。

俳優の権利と危機管理

担当講師:アクターズ・コース講師陣

今、俳優の仕事は多岐に渡っています。映画、ドラマ、広告、演劇、ナレーション……。事務所に所属している俳優も、フリーで活動している俳優も、最終的には自分の身体と心をさらけだして、ある作品世界の創造に寄与していきます。だからこそ、その仕事の過程、表現の領域で起きる種々のトラブルは、俳優にとってダイレクトに心身を傷つけかねないリスクを負っています。自立した俳優としてその仕事を長く楽しく継続していくために必要な知見をシェアしていきます。

<ゲスト講師>
森崎めぐみ(俳優・一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事)

断片映画制作

担当講師:宮崎大祐

与えられたテーマに基づき各自が2本の断片映画=「『短編映画』未満の映画」を制作します。初回にガイダンスを行い、映画制作の基礎を学んだのち、受講生それぞれに断片映画を制作してもらい、完成作品をみなで見て批評します。自分で自分を演出し、演技し、撮影し、編集するという4段階をふむことで自分の演技がカメラにどう定着して作品として観客に伝わるのかを学びます。

短編映画制作ワークショップ

担当講師:松本大志

映画監督をまねき、一般的な映画制作のプロセスにのっとり短編映画を制作します。受講生は出演者とスタッフを兼ねることで、演技ができて制作もできる俳優への第一歩を踏み出すことをめざします。

フィクション・コースを知る

担当講師:近藤強

フィクション・コース生の作品を上映し、監督や出演者を招いて作品について話し合うという講義です。映画制作者と俳優はオファーする/されるという関係から始まることも多いですが、両コースが併設されている映画美学校の特色を生かして、まずは作品を観て話す場を作ることでお互いの存在を知り合うところからはじめてみるということをしてみたいと思っています。作品作りをする人たちとコースを越えて出会うことで、お互いに刺激を得ながら学びを深めていく仲間と出会うきっかけになることを目指します。

演技の視点

担当講師:島村和秀

「演技の視点」では演技における【プラン】と【アクション】のベースとなるアイデアをシェアします。【プラン】においては個々人の主体的なテキストへの批評(読解)と、それを元にした演技プランを作っていただきます。【アクション】においては演技空間(現場)で状況を立ち上げるための視点とそのトレーニングを行います。最終的には「ハムレット」を用いてそれぞれ1シーンずつ発表する予定です。なお、発表は “シェイクスピアっぽい表現”が要求される場ではなく、むしろそうした先入観や権威性から離れ、「演技を自分のものにできたか」を確かめる為の発表となります。

戯曲を書いてみる。

担当講師:本橋龍

其々に短編の戯曲を執筆して頂きます。
作家の視点と俳優の視点は根本的な違いがあると感じています。Googleマップでいうところの、通常のマップの状態が作家の視点。主観視点のようなストリートビューが俳優の視点に近いのではないでしょうか。
作家の視点に立ってみることで、俳優をやる上でも新たな視点を獲得できるのではと思っています。
最終的に、執筆戯曲の発表を読み合わせの形式で行います。

アクターズ・ラボ

毎回多彩なゲスト講師を招いてその生き方や知見を解きほぐしながら共有していきます。様々なジャンルや立場の違う講師を招くことで、演じることだけではない、俳優としての世界の見え方を広げていきます。

修了上演展

担当講師:近藤強兵藤公美島村和秀三浦雨林

半年間研鑽を積んだ集大成として、またアクターズ・コースの理念の一つである「自分で作れる俳優の育成」を掘り下げるため、演技表現のショーケースを開催。三浦雨林が俳優のクリエーションをサポートし、近藤強と兵藤公美が演技のサポートと場をプロデュース。作品発表ではなく、俳優が演じることを主体的に考え実践する、「演技の創造性」に焦点を当てた上演を行います。