コラボレーション実習(9月から3月)/担当講師:万田邦敏

コラボレーション実習の目標は大きく分けて2つです。
1.24分尺のシナリオ作りを通して、企画力とシナリオ力を身につける。
   受講生は、コラボで製作する映画のシナリオを、演出講師と共に企画、執筆し、ドラマの構成力を身につけます。
 シナリオの開発期間は約2ヶ月です。
2.演出、撮影照明、録音の講師のもとで、プロの低予算映画に近い現場・ポスプロの技術レベルと分業システムでの動き方を体験す
 る。プロの低予算映画に近い現場を体験することは、プロ、アマチュアに関係なく、今後、国内外のインディペンデント映画と競い合う
 クオリティを維持する上で基準となる体験です。ここで培ったクオリティの感覚と技術力が、修了制作の現場でも生かされます。
 撮影期間は4日間、ポスプロ期間は2ヶ月半程度です。

   
担当講師より
ruri2コラボのシナリオ作成では、講師の世界観に受講生みなさんの世界観をぶつけ、互いの世界観を鍛え直すことによってより強度のあるシナリオの完成を目指すことになろうと思います。具体的に言えば、まずは講師がお題を出し、受講生の皆さんがそのお題を膨らませ、再び講師が参加して、講師と共にシナリオを仕上げていくということになります。
シナリオの執筆は講師が行う部分もあれば、受講生のみなさんに任せる部分もあると思います。
シナリオは、芝居を考えながら書かなければなりません。芝居とは、アクションとリアクションであり、関係性の変化であり、ドラマであり、生身の身体です。芝居は、映画のフィクションとリアルを支える重要な要素です。何が芝居であるかは、シナリオを作成しているあいだじゅう、ずっと問題になるだろうと思います。
そしてそれは、撮影の現場でも問題になることです。芝居を成立させるために必要なものは何か。どのパートのスタッフも、結局はそれに向かって思考し、準備し、実行します。
4日間で24分の尺を撮影するのは、準備も含めて、それなりにハードです。しかしそれは、意味のないハードワークではありません。ハードを通過した後には経験値が残ります。その経験値は、みなさんが修了制作を作る現場で活かされるし、その後のみなさんの映画との関わりにおいて活かされるはずのものです。映画を作り続けるにせよ、見続けるにせよ、映画のことを考えるだけにせよ、映画から離れるにせよ。

万田邦敏

【コラボレーション実習スケジュール

◇コラボレーション準備(9月〜12月)
準備段階における課題・問題点を全員で共有し、各部ごとの準備を進めます。また、実際のロケ地探しなども進めて行きます。

◇機材について(10月)
コラボレーション実習の撮影に向けて、撮影部・照明部・録音部はあらためて機材についてレクチャーを行います。

◇テスト撮影(10月)
グレーディングも視野に入れたテスト撮影を行います。

◇リハーサル(11〜12月)
実際に撮影で使用するシナリオをもとに、芝居を作り込んでいく過程を受講生全員で体験します。

◇コラボレーション実習:撮影(12月予定)
スタッフとして参加をしながら、実際の演出、撮影を体験します。初等科で行ったミニコラボとは比較にならない、経験したもの曰く「これを通るか通らないかでは全く違う」現場体験が待っています。

◇コラボレーション編集(1月〜2月)
完成までの作業を自分たちで行います。スタッフを再編成し、全員で編集から仕上げまで取り組みます。

◇デジタル・グレーディング(2月〜3月)
完成までの作業を自分たちで行います。

◇デジタル・グレーディング(2月)
映像の色彩補正作業は、作品の最終的なルックを決める大事な作業です。

◇仕上げ(整音)作業(2〜3月)
編集同様、完成までの作業を自分たちで行います。初等科では経験しなかった「ProTools」による本格的な整音作業を体験できます。「音で映画を豊かにする」ということはどういう事なのかを実際に機材を動かしながら体験して行きます。

 

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