コラボレーション実習(9月末開講から3月)/担当講師:高橋洋

この実習の目標は大きく分けて2つです。

1.30分尺のシナリオ作りを通して、脚本力を身につけること。
コラボで撮影するシナリオは、脚本作りのトレーニングを兼ねて受講生自身の手で書かれたものの中から選抜します。脚本の開発期間は約2ヶ月です。(30分尺の短編は海外の短編映画祭等にエントリーするインディペンデント映画の基本フォーマットとされているので、これを基準とする経験を積んで貰います)

2.演出、撮影照明、録音の講師のもとで、プロの低予算映画に近い現場・ポスプロの技術レベルと分業システムでの動き方を体験すること。撮影期間は5日間、ポスプロ期間は1ヶ月半程度です。
プロの低予算映画に近い現場を体験することは、プロ、アマチュアに関係なく、今後、国内外のインディペンデント映画と競い合うクオリティを維持する上で基準となる体験です。ここで培ったクオリティの感覚と技術力が、修了制作の現場でも生かされます。

ruri3なお、5日間の撮影体験を実習としてより充実したものにするために、撮影する内容は出来る限り場所を限定したものにしたいと考えています。つまり、場所移動に費やす時間を出来るだけ減らし、演出、撮影照明、録音の各パートがジックリ腰を据えて芝居に取り組めるようにしたいのです。そのためコラボで開発するシナリオは限定された場所で展開するもの、やや難しい言い方をすると「演劇的な発想を映画に変換したもの」にしたいです。(ワン・セット限定というわけではありません。僕の監督作でいえば、フィクション第13期高等科コラボの『旧支配者のキャロル』が近いですが、これは主に2つの場所で展開します)

限定された場所でシナリオを発想していくことは、予算上時間上の必然から、初等科の修了制作でもけっこう体験した人がいるし、なじみやすいと思います。ただ、一から企画を発想していくとなると、企画レベルで行き詰まる人が増え、肝心のシナリオ・ライティングに割ける時間が少なくなってしまいます。

そこでコラボの脚本開発では、あらかじめ僕からお題を出すことにします。

みなさんは商業ライターではないから、お題を受けて書いた経験はないと思いますが、プロデューサーからお題を出された商業ライターのつもりで、この題材をどのように料理するか、題材が気に入っていようがいまいが、とにかく書くこと、人物をいかに魅力的にするか、どんな台詞を発するか、展開をどう面白くするかに専念して欲しいのです。

rokuon選ばれる脚本は一本だけですが(第18期高等科コラボのように2本選ばれ、それをリライトして1本にする可能性もあります)、ここでの体験が、シナリオ力のアップにつながり、カリキュラム後半のシナリオ・ワークショプでの脚本作りに生かされると思います。また、コラボの制作現場でも、各パートのスタッフの視点からシナリオを繰り返し読み込むことは、シナリオ力のアップにつながります。映画監督が自ずとシナリオが書けるようになるのは、現場スタッフとしてシナリオを読み込んできた経験があるからなのです。

これからの映画作りにおいて、「演劇的な発想を映画に変換すること」は、低予算が条件付けられた昨今の現実の中で、有効な戦い方ではないかと僕は感じています。その可能性を探求したいです。

高橋洋

【コラボレーション実習スケジュール

コラボレーション準備(9月〜12月)
準備段階における課題・問題点を全員で共有し、各部ごとの準備を進めます。また、実際のロケ地探しなども進めて行きます。

リハーサル(11〜12月)
実際に撮影で使用するシナリオをもとに、芝居を作り込んでいく過程を受講生全員で体験します。

コラボレーション実習:撮影(12〜1月)
スタッフとして参加をしながら、実際の演出、撮影を体験します。初等科で行ったミニコラボとは比較にならない、経験したもの曰く「これを通るか通らないかでは全く違う」現場体験が待っています。

ポスプロスタッフ再編成(1月)
ポストプロダクション時に、スタッフを再編成し、全員で編集から仕上げまで取り組みます。

コラボレーション編集(1月〜2月)
完成までの作業を自分たちで行います。

カラー・グレーディング(1月)
カラー・グレーディング(映像の色彩補正作業)は、作品の最終的なルックを決める大事な作業です。

仕上げ(整音)作業(2〜3月)
編集同様、完成までの作業を自分たちで行います。初等科では経験しなかった「ProTools」による本格的な整音作業を体験できます。「音で映画を豊かにする」ということはどういう事なのかを実際に機材を動かしながら体験して行きます。

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