「シナリオワークショップ」/担当講師:池田千尋

enshutsu1みなさんこれまで映画を作ってくる中で、脚本がどれだけ大切なものか知ったことと思います。脚本上で問題であったこと、課題として抱えたものは、どんなに巧みな演出があったとしても、問題のまま残ってしまう。これは私が様々な作品を作ってきた中で実感として思うことです。みなさんも自作について思い返してみてください。脚本上でおざなりにしたこと、向き合い切れなかったこと、見つけられなかったものは、きっと全てそのままのはずです。
では、どう解決するか。それにトライし続けるのがこの講座です。技術だとか書き方だとか、そんなものは書き続けていれば自ずと身につきます。肝心なのは、その本を書こうとしているあなた。あなたが今どのように生きていて、何を考えているのか、そんなあなたが世界の中から何を題材として選び取り、題材にどのように向き合い、客観的に映画として昇華できるのか。
世界(他者)に接すること、感じること、考えることを普段から注意深くしていなければあなたの題材を選び取ることはできません。考え無しに面白そうな題材に飛びつくことはできますが、テーマもなく書き始めても筆が止まるか芯を食わない何かが出来上がるだけでしょう。あなたがこれから人を巻き込み、お金を使い、大変な労力を必要とする映画にしてでも表現したいと熱望する題材を選べるかどうか、まずはそこから始まります。
さて、題材を選んだとして、そこからが苦しい道のりになるわけです。題材に向き合うことは、自分という人間に向き合うこと。一人の人間がゼロから脚本を書こうとしたのなら、その人間の中に既にあるものが最大の材料であり、道具になるからです。自分の中から生まれる思考、言葉、知識。それがどれだけ足りないのか、弱点は何か、思い知りながら幹となるテーマを見つけなければならない。思い知るためには、時に他者の助言や指摘が必要となるでしょう。というか、大抵それが鍵になったりします。自分という人間の中でいつの間にか凝り固まった思考、閉じた扉を開く鍵。
勇気を持って扉を開き茫洋とした世界に身を晒しながら、今一度自分はどんな人間なのか見つめ直し、題材に深く向き合い格闘することで作品の幹となるテーマを確立する。そうしてやっと書き進めていく。そんなある意味途方もない挑戦をするのだと脚本を書くたびに私は思います。この講座でみなさんと共にその格闘をすることを始めるのだと思っています。まあ、やってみましょう。一体何が生まれるのか。映画を作るのは一人の戦いでもあり、共同作業でもある。どこまで他者に晒してそれでも自分が作りたいものはこれだと言えるのか。それをやってみましょう。どうぞよろしくお願いします。

池田千尋

<「10分短編シナリオ」について>
いきなり修了制作のシナリオを考えるというと身構えて、長考状態に陥ってしまう人もいるでしょう。そこで、まずは肩ならしのつもりで10分のシナリオを書きます。その出発点となる企画を提出してもらいます。企画とは書き手の世界観を反映したものです。自分の全存在が試されることに果敢に挑戦して下さい。ワークショップ1〜4で提出企画の検討、プロット作りを指導します。その後シナリオを提出。講師による選考を経て、選ばれたシナリオを映画化します。映画化することによって、シナリオをいわば逆照射して、あらためてシナリオについての思考を実践的に深めます。
※映画化する本数は受講生の人数によって変動します。
※脚本コース・アクターズ生のシナリオが選出された場合は、演出ワークショップ生から希望を募って監督を任せます。

<「修了制作シナリオ」について>
修了制作に向けた24分から30分尺のシナリオの企画・開発を行います。ワークショップ5〜8では提出された企画内容の検討、プロット作りを指導し、その後第1稿を提出。ワークショップ9〜12では提出された第1稿の検討、リライトの指導を行います。最終的に決定稿及びプレゼン用ビデオの提出を受けて、修了制作の選考となります。

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