「演出ワークショップ」(2月から7月)/担当講師:西山洋市

初等科での短編劇映画作りを経験してきたあなたの「映画演出」での課題は何でしょう?
そこを超えればもっと良い、もっと面白い映画が作れるのでは・・と思われる、あなたの現在の限界はどこにあるでしょう? それは、撮り方か、演技の演出か、その両方か。
それに対して、あなたはどのような方法論で課題を解決できるでしょうか?

高等科の演出ワークショップでは、初等科での短編製作で見えた、あるいは感じた、さまざまな課題・・つまり今現在の自分の限界を、より高いレベルで理解し、次なる段階の演出力(考え方と技術)を身につけることで克服し、本格的な演出家への飛躍を目指します。

IMG_1471高等科では本格的なシナリオ作りにも取り組むことになりますが、映画の内容はシナリオだけで決定されるわけではありません。演出は、演技の演出という核心部の構築作業によって、シナリオの読み方と見せ方(撮り方)という両方向に深くかかわっているからです。
演出の半面は「シナリオの読み方」の技術に深く根ざしています。「シナリオの読み方」は重要な演出技術の一つなのです。指揮者が譜面を読むように、演出家はシナリオを正しく読めなければ、正しく演出することはできません。「シナリオの読み方」が、演技の演出の土台となり、演技の演出から「撮り方」が導きだされる。
また、演出技術の一つとしての「シナリオの読み方」の理解と習得は、シナリオ自体に対する理解を深め、シナリオ作りにも役立つようになるはずです。

「読み方」はそのまま演技の演出として(良くも悪くも)具象化されます。リハーサルの過程での芝居の変化は、「読み」の変化・深化の反映です。劇映画の物語は、シナリオを読みこんだ結果としての演技(演出)として、具象化された人物と人物関係によって語られるのです。その過程に映画演出のキーポイントのほとんどが含まれています。
人物の豊かな多面性と複雑な関係性をすっきりと洗練された表現として見せるためにはいくつもの技術を使った複雑な手続きを必要としますが、シンプルにそれを行なえるようになるには、基本的な理論を知り、演出の手続きが無駄なく行えるようになる基礎練習をしておく必要があり、その基本形は「シナリオの読み方」と連動する演出技術の重要なアイテムとしてワークショップでのリハーサル(本読み)で体験的に学んでもらいます。

enshutsu1おそらく個々人によって抱えている課題は少しづつ違うはずですが、課題を解決する技術的なヒントは複数あり、個々人の資質によって、それらを組み合わせた方法を用いる必要や、さらに、あなた独自の方法論を獲得する必要があります。それが、あなたのオリジナルな作品制作に繋がります。
柔軟な思考で、臨機応変に各自の方法論を見出してもらうためも、まずは映画演出についての基本的な思考と技術をグレードアップするワークショップを、できるだけ受講生個々の資質を探りながら進めたいと思っています。
受講生同士、お互いの演出を見たり、一緒に考えることも、ひいては自分の演出を考えるきっかけ、大きな参考になるはずです。(フィクション・コース講師の間にもそのような関係があって、それぞれの演出を深めてきたと思われます。)

大きな流れとしては、まず、演出力をグレードアップするための具体的な理論と方法を実践的に学んでもらい(1stターム)、次に、コラボ実習を踏まえた製作体制での短編映画製作を通じて、その方法論の実践を試行し(2ndターム。ワークショップでのオリジナルシナリオに基づくリハーサルの指導)、最後に、修了製作に向けて各自のシナリオの演出の可能性を深める(3rdターム)、という過程を考えています。

「シナリオ・ワークショップ」(3月から8月)/担当講師:高橋洋

シナリオ・ワークショップでは全12回に渡って、修了制作に向けた30分尺シナリオの企画・シナリオ開発を行います。30分尺とする根拠はコラボの尺と同様です。ただし、目指しているものが15〜20分など30分を下回るものであっても、海外の短編映画祭のエントリーの要件は満たしているのでOKです。

修了制作が目指しているのは、国内外のインディペンデント映画と競い合えるレベルの作品の発信です。今、インディペンデントの作り手たちは現代の映画をどのように捉え、どんな試みをしているかを自分の問題として受け止めて下さい。彼らはもとより学内的な発想などしていないし、はじめから外の世界を目指しています。外の世界では、自分の趣味性や好みを語っても問題にされないことも判っています。作品の力が観客を納得させなければダメだという認識から出発しています。シナリオ・ワークショップはシナリオ・ライティングを勉強する場だけでなく、こうした認識に立って、今、どんな映画を作ったら面白いかを互いに問い、確認し合っていく場でもあります。

IMG_1235初等科と同様、受講生個々人による企画・シナリオ開発をベースとしますが、グループによる共作にも対応して指導します。初等科の修了制作を振り返って、個人での取り組みでは行き詰まりがちと思った人は共作するメンバーを募ってくれて構いません。コラボのお題体験で、自分の頭からは出ないきっかけがあった方が筆が進むと実感した人にとっても有効な方法だと思います。
一人の受講生が個人と共作の双方に関わることもOKです。

僕は初等科の講義で「いかに悩まないか」を強調しました。
いたずらに自分を追い詰めることは真剣さではなく、硬直を生みます。
本当に真剣な人は、頭を柔軟にする状態を呼び込もうとします。別に共作に限らず、個人においても同様です。

なお、脚本・演出の両ワークショップでは、脚本コース、アクターズ・コース修了生の参加も受け入れています。他コース生の発想を導入することでより豊かな交流が生まれることを期待しています。

シナリオ・ワークショップのおおまかな流れは以下の通りです。

・課題1「10分シナリオ」の企画提出。
いきなり修了制作の企画提出というと身構えて、長考状態に陥ってしまう人もいるでしょう。
そこでコラボでの脚本体験を踏まえて、まずは肩ならしのつもりで10分のシナリオを書いてみて下さい。その出発点となる企画提出です。もちろん、初めから修了制作に取り組みたい、早めにシナリオ執筆に入りたいという人はこの段階から修了制作の企画提出をしてくれて構いません。

・シナリオワークショップ第1ターム(1〜4)
提出された企画内容の検討、プロット作りを指導します。

・課題1「10分シナリオ」の提出。
講師による選考を経て、選ばれた複数本の短編を映画化します。
このようにワークショップ途中に映画製作という締め切りを設けることで、長考状態に陥りがちな企画開発の流れを活性化する狙いです。
初めから修了制作に取り組んでいる受講生は提出に当たってはその10分バージョンを書き上げて下さい。
提出されたシナリオはすべて赤入れ稿を戻します。
※映画化する本数は受講生の人数(つまりは予算)によって変動します。
※脚本コース・アクターズ生のシナリオが選出された場合は、演出ワークショップ生から希望を募って監督を任せます。

・課題2「修了制作シナリオ」の企画提出。

・シナリオワークショップ第2ターム(5〜8)
提出された企画内容の検討、プロット作りを指導します。

・課題2「修了制作シナリオ」第1稿提出。

・シナリオ・ワークショップ第3ターム(9〜12)
提出された第1稿の検討、リライトの指導を行います。
ホン読みは可能な限り行いますが、人数、提出状況によって変動します。
シナリオはすべて赤入れ稿を戻します。

・課題2「修了制作シナリオ」決定稿提出。
決定稿及びプレゼン用ビデオの提出を受けて、修了制作の選考となります。

※脚本・アクターズコースから参加の受講生が、単独で優れたシナリオを書いた場合、監督はコラボレーション実習を修了している受講生から選ばれます。例えば、15期高等科の修了制作『なんのすべもなく』は、脚本コース生のシナリオをフィクション・コース生が監督する形で選ばれました(脚本:加藤高浩、監督:若栗有吾)。フィクション・コース生単独の脚本・監督ではなく、脚本と監督を組み合わせる場合は、本人同士の意向を第一とします(選考に関する詳細は「修了制作実習」の欄をお読みください)。

【定員・応募資格について】
募集定員は26名程度とします。
応募資格は、フィクション・コース生は期に限らず初等科修了生。脚本、アクターズ・コース生は期に限らず高等科修了生。フィクション・コース生は応募者全入とします。脚本、アクターズ・コース生の人数枠は、フィクション・コース生の人数に応じて変動します(定員オーバーの場合は、申込先着順となります)。これは修了製作スタッフを確保するための措置なので、ご了解下さい。

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