フィクション・コース第15期修了の下社敦郎さん。現在、初の長編作品『東京の恋人』が劇場公開中です。そんな下社さんに、映画美学校時代のことなどを語っていただきました。

写真右/下社敦郎さん、写真左/『東京の恋人』主演の川上奈々美さん。

—そもそも映画美学校に入るきっかけとはなんだったんでしょうか?

大学の時に映画撮りたいって思ったけど、そういう環境になくて。その頃から普通に入るなら好きな講師がいるから映画美学校しかないって思ってました。

—(生まれは)名古屋だっけ?

三重ですね。

—入る前は撮ってはいなかった?

撮ってない。大学やめて上京して、2年ぐらいフリーターしてた。

—好きな講師っていうと、青山(真治)さんとか?

青山さんとか黒沢(清)さんとか、井土(紀州)さんとか。

 

—実際入ってみてどうでしたか?

シネフィルが多いなと思った。

—そうだろうね。

映画の議論とかあんまり慣れてなかったので、新鮮でもあり、だんだん疲れてくるのもあり。今そういうことあんまりしないから懐かしい感じがするけど。今そういう20代前半の人たち、映画美学校の人たちと飲んだりしたら、かなり自分が年取ったなって思っちゃうかな。

—初等科の担当講師は高橋(洋)さん?

そうですね。

—実習等で、記憶に残ってることってありますか?

最初の5分課題で講師が選ぶ3本か4本に選ばれたんですよ。僕はカメラを回したことはあったけど、それ撮ってちゃんと編集してってつくったのは初めてで。自分でもよくわかんなかったんで、それを講評されるっていうのは新鮮で。ああなるほどなって思うところがあったし。もっとこうしたいなって思うのがでてくるというか。そんな部分がありましたね。
他のみんな、50人以上いたと思うけどそれも全部見たと思うから、いろんな人がいるんだなあと思いましたね。

—他のクラスの作品も見れたんだよね?

一気に土曜の昼とかに他のクラスのも流したんじゃなかったっけ。あと初等科の修了制作。そこで中村(太紀)くんが監督に選ばれて、中村くんの音楽と録音と整音と編集をやったんですけど。
ある意味そこからもう僕はあまり変化してないっていうか、道が決まっちゃってる。中村くんもいまもバンド続けてるし。

 

—音楽はもうずっとやってたんだっけ?

高校の時からやってます。

—そこから『イヌミチ※』(※2012年度高等科コラボレーション作品)いって、現場で録音やって。録音部は臼井(勝)さんがいたんだっけ?

そうでしたね。

—『イヌミチ』はどうでした?

『イヌミチ』あったからいまおか(しんじ)さんの音楽をやってるっていうのもあるんで良かったと思います。

—もともと整音とか効果で入ったけど、音楽をやることになったんだっけ?

大野敦子さん(『イヌミチ』制作担当講師)にやりたいって言ったら、やらせてくれて。かつもう一人やりたいって人がいて。斎藤さんっていう昔万田(邦敏)さんが担任してたときの教え子の友達で。でその女性の紹介で来て、じゃあ長嶌寛幸さんに音楽監督じゃないけど取りまとめてもらいつつ進めようって感じでしたね。
僕は音関係のポスプロもやってたけど、そこは大野さんとか臼井さん的にも両方できないだろうっていうことで、基本的にはポスプロでは音楽だけやらせてもらってた気がします。

—で、『WALK IN THE ROOM※』に。(※下社監督作品、2016年のTAMA NEW WAVEのコンペティション選考作品)70分くらい?

あれは49分。長編ではない。長編は『東京の恋人』が初めて。

—中編か。あれは『イヌミチ』終わって半年後とかだったね。

4月。2014年ぐらい。

—そもそもどういうきっかけだったの?

ただの自主映画。せっかく勉強したんだしという気持ちで、暇だったし。

—スタッフはほとんど同期だったよね。

そうか。

—(高等科に)いた人もいなかった人もいたけど。自主映画だと初めて撮ったってことかな?

でもミュージックビデオとか撮ってるから。

 —結局それから、『東京の恋人』って撮ったの去年だっけ?

ちょうど一年前。TAMAぐらいから一応赤松(直明)君となんかシナリオ考えて。俺が考えたのを赤松君に話して、居酒屋で飲むっていうのを何回かして。

—全国公開なんだよね。

名古屋、大阪、広島、京都、仙台とか、色々決まってるんじゃない。配給はスポッテッドとMAPというとこ。熊谷さんって方がやってくれてますね。配給つかないと無理だよ。しんどいよ。

 

—学校のこと聞かないと。さっき講評の話とかもあったんだけど、具体的に印象に残ってることとかあります?

高橋洋さんのクラスなので、(高橋さんが)シナリオ重視の人だから、最初の頃かな、結構ずっと言ってると思うけど、頭で考えてフィクションに落とし込むよりも、実際あった面白い話とか、実体験とかの方が強いって結構おっしゃられてて、それは確かにそうで。
『東京の恋人』に関しても実体験もあるし、飲みにいくの好きだから、酒場とかで聞いた話とかをネタにしてる。

—誰かの実体験とか?

そうそう。その辺のギャルとかの方がすげえことしてるなということが多くて、そういう高橋さんの言葉によって、リサーチ力というか、そういうやり方でホンを作るようになったなと思います。

 

下社敦郎(しもやしろ・あつろう)
1987年生まれ、三重県出身。映画美学校フィクション・コース修了。『イヌミチ』(14)を皮切りに、田尻裕司監督の『愛しのノラ~幸せのめぐり逢い~』(17)、いまおかしんじ監督の『夫がツチノコに殺されました。』『オレとアイツの集金旅行』『ろんぐ・ぐっどばい~探偵古井栗之助~』(17)『半端』『半端2』(18・未)で音楽を担当。16年、初監督作の『WALK IN THE ROOM』がTAMA NEW WAVEコンペティション入選、カナザワ映画祭期待の新人監督入選。第2作、『ヴォワイヤンの庭』(18)も各地の映画祭で好評を博す。『東京の恋人』で劇揚公開でデビュー。いまおか監督の新作『れいこいるか』(20)でも音楽を担当している。 

  2020/6/19 
インタビュー:松本大志、校正:浅田麻衣

フィクション・コース第24期初等科前期 9/9(水)開講!

詳細はこちらから

募集ガイダンス開催決定!【無料/要予約】
担当講師、フィクション・コース修了生が登壇しますので、詳しいカリキュラムや実体験を直接聞けるチャンス!
学校の雰囲気も分かるガイダンスに是非ご参加下さい!

7/15(水)19:00〜 
8/8(土)19:00〜 
申し込みは「こちら」から!