映画を書き続ける
第2期ドキュメンタリー・コース基礎科作品
2002年(約25分)DV
演出:永倉理央
撮影:林和秀 平野隆行 録音:高橋裕輔 編集:永倉理央 高橋裕輔 平野隆行
【監督のことば】市ヶ谷のとあるビルの地下へとお邪魔する。扉を開けばそこにはほぼ毎日映画字幕を書く作業をされている方々が黙々と机に向かって仕事をしている。映画館のスクリーンでは1文字何センチのものに拡大されて映写される字幕は実に様々な工程を経て観客に届けられる。字幕というものは鑑賞するものではなく、話題になるものでもない。しかし地道に作業を続ける人々のその光景は字幕そのものの本質をあらわにしていると感じた。なぜならそこで垣間見たものはクロコという独特の領域の存在だった。初期のトーキー時代から変わることなく、映画の幕が閉じると共に字幕という媒介の役目は果たされ、消失される。しかし映画は書き続けられ新たに創られる。そのさなか、文字通り「書き続ける」行為のこだわりが明らかになる。時間がゆっくりと進む平穏な小部屋からそっと出て1階へ上がる。工房はすっかり街の騒音で覆われていた。