1960年夏のパリで撮影されたジャン・ルーシュの『ある夏の記録』は、クリス・マルケルの『美しき五月』とならぶシネマ・ヴェリテの傑作としてその名を映画史に刻んでいます。今回、ジャン・ルーシュ(1917―2004)の生誕百年を記念して『ある夏の記録』を日本語字幕付で上映。あわせて、偉大な足跡を残したその創作活動を考えるシンポジウムを開催します。

▶︎日程:2017年8月30日(水)
▶︎会場:草月ホール(東京都港区赤坂7-2-21)
▶︎上映作品
『ある夏の記録』1961年/監督:ジャン・ルーシュ、エドガール・モラン(デジタル/86分/日本語字幕)
▶︎料金:一般 1500円 学生/シニア 1200円 アテネ・フランセ文化センター会員 1000円
▶︎主催:アンスティチュ・フランセ日本 アテネ・フランセ文化センター 映画美学校
協力:コミュニティシネマセンター 山形国際ドキュメンタリー映画祭 草月ホール

詳細ページ:http://www.athenee.net/culturalcenter/program/rou/rouch.html

8月30日(水)昼の回

13:30 レクチャー:
マリー=クリスティーヌ・ド・ナヴァセル
(ジャン・ルーシュ生誕百年記念委員会=予定)
須藤健太郎(映画研究者)
14:00 『ある夏の記録』(86分)

8月30日(水)夜の回

18:00 シンポジウム:
諏訪敦彦(映画監督)、金子遊(映像作家・批評家)
岡田秀則(東京国立近代美術館フィルセンター主任研究員)
マリー=クリスティーヌ・ド・ナヴァセル
(ジャン・ルーシュ生誕百年記念委員会=予定)
司会:坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
19:00 『ある夏の記録』(86分)

上映作品
chroniqueある夏の記録
Chronique d’un été
86分|1961年|デジタル上映

監督:ジャン・ルーシュ、エドガール・モラン

43歳のルーシュと国立科学研究センターに所属する39歳の社会学者エドガール・モラン(「映画 想像の中の人間」著者)が共同で監督した「シネマ・ヴェリテ」(真実映画)の代表作。61年度カンヌ映画祭で国際批評家賞を受賞。60年夏にパリにいた人々が幸せや仕事や愛や社会問題などについて述べる意見を記録する。撮影技師ミシェル・ブローは7月末から8月初頭まで撮影を担当し、アンドレ・クタンの開発した軍用の最新軽量機材とナグラの最新テープ・レコーダーを用いた。監督たちとの対話に応じるのは、まずモランの知人マルセリーヌ・ロリダン(後に記録映画作家になる)だ。彼女はルーシュ映画の常連の女子学生ナディーヌ・バロと共に労働者や芸術家らの取材に加わる。さらにルーシュ映画の常連の黒人学生ランドリーも取材に加わる。アルジェリア独立問題、黒人差別についての議論、休暇中パリを離れ南仏サントロペで過ごす人々も記録されている。なお、2012年、出演者の50年後を記録したエルナン・リベラ・メヒア監督の映画『ある夏について』が公開された。

監督情報
ジャン・ルーシュ Jean Rouch

映画作家、映像人類学者。1917年5月31日、パリ生まれ。2004年2月18日、ニジェールで亡くなった。42年、ニジェールのソンガイ族の憑依の儀式に立会い、人類学研究を始める。46年、友人二人と九か月かけてニジェール川を丸木舟で下り、旅の写真と記事を通信社に売り、河馬狩りの映画記録を初の映画『黒い魔術師たちの国で』(47)に用いる。47年、国立科学研究センターの研究員、人類博物館の講師となる。150本を超える映画作品があるが、有名作に、55年にガーナ、アクラのハウカと呼ばれる憑依カルトを記録した『狂気の主たち』(原題は「ハウカ」の仏語訳)、ニジェールの三人の主人公の寓話風劇映画『ジャガー』(56~67)、コートジボワールのアビジャンの黒人居住区の青年の日常を写実的に再現する劇映画『我は黒人』(58)、アビジャンの白人と黒人の高校生が演じる心理劇映画『人間ピラミッド』(61)、60年夏のパリの人々の意見表明を記録した『ある夏の記録』、オムニバス『パリところどころ』(65)の一話の劇映画『北駅』がある。

お問い合わせ
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS B1F
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00
ウェブサイトからのお問い合わせはこちら