※各選考者による総評をアップしました(2016/10/7)

2016年6月30日締切の「プロットコンペティション2016」の応募総数は28本でした。
各選考者による選考結果は以下となります。

<プロットコンペ2016 最優秀作品(作者五十音順)>

小林剛プロデューサー選出
新井優子 『地図を描く男』(第4期高等科後期修了生)

佐藤現プロデューサー選出
上村奈帆 『ばぁちゃんロード』 (第4期高等科後期修了生)

根岸洋之プロデューサー選出
野口俊介 『MimeSys 擬態人間』 (第4期高等科後期修了生)

 

ただし、各作品ともにすぐに実現可能なものではない、という条件付きでの選出です。
各作品の作者は、これから選出プロデューサーと顔合わせを行い、具体化を目指して話を進めていきます。

 

各選考者による選考理由・総評

【小林剛プロデューサー
(㈱KADOKAWA 映像事業局 映画企画開発課)
良い悪いではなく、全体的に商業映画というよりは良質なインディペンデント系を目指す企画が多かったように思います。そんな中で、(まだどう出来るかは判りませんが)KADOKAWAの商業映画としての視点で選ばせて頂いた企画が「地図を描く男」です。今企画は実在の人物をモデルにしたいわゆる“Based on True Story”モノで、KADOKAWA原作の映画「ビリギャル」や「舟を編む」に近いテイストを感じました。そもそもまず“こういう人がいたんだ”という驚きがあり、周りからは奇異の目で見られてきた異端の人がある才能を見出され脚光を浴びるという、王道のサクセスストーリーがあります。より多くの観客を対象とする商業映画としてのセオリーが感じられました。題材が良い、少しコメディタッチのテイストも良い。何より主人公が魅力的で、読後感がさわやかなのも良かった。他、気になった作品として「パンチング・モンキー」「米ツブの神さま」がありました。どちらも物語としての骨格がしっかりしており、それぞれ違ったベクトルの魅力がありました。ただ、今回はウェルメイドを自分でも意識していたので、よりそれを感じられる「地図を描く男」に選を落ち着けることになりました。

【佐藤現プロデューサー
(東映ビデオ株式会社 企画製作部)
全28のプロットは力作揃いで、大変読み応えがありました。ストーリー展開の巧みさ、着眼点の面白さなど秀れたプロットは他にもありましたが、上村奈帆さんの「ばぁちゃんロード」を選出させていただきました。結婚を控えたやさぐれギャル・夏海と寝たきりの祖母・キヨが、なんとしてでも二人でバージンロードをと歩くため、がむしゃらに奮闘する物語。選考理由は、何より私がもっとも感情を揺さぶられたプロットだったからであり、作者が物語を通じて描きたいこと、観客に伝えたい思いが明確に感じられたからです。
プロットが脚本になり、監督が演出し、俳優が演じ、撮影、編集、音楽・・・と工程が進み様々な人々の力が加わっていったとしても、作品の「芯」になる部分は後から作れるものではないと思います。私にとって、その「芯」がもっとも見えるプロットが「ばぁちゃんロード」でした。原作の無いオリジナルプロットを映画化するのは、とてもハードルが高い現状ですが、実現を目指して、上村さんと共に尽力していきたいと思います。

【根岸洋之プロデューサー(マッチポイント取締役 プロデューサー)
 プロットと物語はどう違うのか?ある時期よりイーストウッドはプロットに頼らずにストーリーと「映画の風」を信頼して進んでいくようになったと芝山幹郎は言う。だが彼の如きポジションは世界でも指折り数える程しかいない。
 28本読み9本程マーキングをしたがそのなかで「1214・元禄十五年」(内崎暁)にはある種の歴史逸話ならではの成程感があったがいかんせん予算がかかる。「地図を描く男」(新井優子)も面白い人を見つけたなとは思いつつ海外ロケがあるよねーと。逆に小さな話では「スカーレット・レター」(美野大輔)に感じた書き手としての安定感を前に以前読んだ同作者の無茶なプロットが懐かしくもなる。「私もーっ!」(佐多賢人)には音楽映画としての実現リアリティに近い線を感じ女装するおっさん役は?とまで考えていたが、待てよこの種の書き手なら周りにもいるか、と思い直す。
 「MimeSys擬態人間」(野口俊介)が残ったがおそらくまだやった事のない怪奇映画のジャンル感に惹かれた、のとそもそもが高橋洋より来た依頼だった面も作用、書き手が医療器具を扱っているという職歴も面白かった。確か橋本忍も不思議な経歴だったような。結果的に“とある監督”向けの企画がないかとどこかで探っていた無意識が決め手となった。卓抜なプロットというより奇抜なストーリーに近い中身だがこれを最優秀作品として一度もんでみたい。

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