PSX_20220616_1411242021年11月25日にお亡くなりになった講師の井川耕一郎さんの特集上映「井川耕一郎の仕事部屋」が2022年7月30日(土)にアテネ・フランセ文化センターにて行われます。

「井川耕一郎の仕事部屋」

2022年7月30日(土)アテネ・フランセ文化センター

[上映プログラム]

13:00〜 A 『色道四十八手 たからぶね』
15:00〜 B 『せなせなな』『ついのすみか』
18:00〜 C 『寝耳に水』『西みがき』

その人は
映画を探究し続け
表現を模索し続け
そして突然に
この世から消えてしまった

映画作家・井川耕一郎

供養というわけでも
追悼というわけでもないのですが
井川耕一郎の作品を上映し、その仕事を振り返ることは
遺された者の務めではないかと思います。
井川耕一郎をすでに知っている方も
これから知る方も
久しく会っていなかった方も
井川耕一郎に想いを馳せ
井川耕一郎の映画を網膜に焼き付ける機会になれば幸いです。

主催者・北岡稔美

井川耕一郎(いかわ・こういちろう) 1962.7.27-2021.11.25

東京都世田谷区生まれ。小学校卒業後、千葉県船橋市に移る。県立千葉高校から早稲田大学に進み、シネマ研究会に所属。季刊誌『映画王』(89-90年)同人を経て、『のぞき屋稼業』(93年・監督:後藤大輔)で脚本家となり、『女課長の生下着あなたを絞りたい』(94年・監督:鎮西尚一)、『黒い下着の女教師』(96年・監督:常本琢招)、『のぞき屋稼業恥辱の盗撮』(96年・監督:大工原正樹)、『ニューハーフ物語わたしが女にもどるまで』(97年・監督:山岡隆資)など、オリジナルビデオ作品を中心に手がける。98年、映画美学校講師に就く。以降、長年にわたってシナリオや演出の指導にあたり、後年は立教大学でも教鞭を執った。映画美学校では受講生とのコラボレーション作品の他、『伊藤大輔』(03年)、『演出実習2007』(09年)を教材用に制作。また、高橋洋、塩田明彦との共編著『荒野のダッチワイフ:大和屋竺ダイナマイト傑作選』(94年)以来、先達の仕事の継承にも力を注ぎ、長時間のインタビュー素材を構成した『渡辺護自伝的ドキュメンタリー』(11-13年)は全10部で完成した。渡辺護には『片目だけの恋』(04年)、渡辺の遺作となった『喪服の未亡人欲しいの…』(08年)で脚本を提供している。
*「プロジェクトINAZUMA  BLOG」に残された文章を読むことができる。 https://inazuma2006.hatenadiary.org/

 takarabune_001『色道四十八手 たからぶね』

ある夜、千春が漏らした「たからぶね」という寝言。それが四十八手の一つと知った一夫は、性に初心なはずの妻がなぜと訝るが、やがて彼女の思わぬ裏の顔を知ることになる。「ピンク映画50周年記念作品」として井川の脚本、渡辺護監督で準備が進められていたが、2013年11月に渡辺の癌が判明。渡辺は井川に演出を託し、翌月死去する。病床の渡辺にからみを撮る上で気をつけていたことは何か聞くと、「からみはフル(ショット)で撮るのが一番エロチックなんだよ。フルをきちんと撮らないとな」と答えたという。本作が井川唯一の商業映画監督作となった。

2014年/35mm/カラー/71分
出演:愛田奈々/岡田智宏/佐々木麻由子/なかみつせいじ/ほたる/野村貴浩

 

sena_05『せなせなな』

とある娘の「昨日と今日がごちゃまぜになった」日々。高橋洋によると、なかなか映画を撮らなかった井川が完成させた本作と『ついのすみか』はシネ研部員たちを驚嘆させたという。気管支を患った姉のうわ言から起こる展開は、喘息で寝込んだ妹のうわ言(「魚、いっぱい、釣れたの?」)を聞いた井川が、現実には行ってもいない釣りに行った錯覚に囚われたという少年期の体験を思わせ興味深い(因みに娘の家は井川の実家で撮影されている)。恍惚状態で発せられる言葉=「異言」のうちに異世界の存在を感知すること。以後、井川はこのモチーフを様々に変奏していく。

1986年/8mm/カラー/65分
出演:阿部優子/飯塚裕之/武井昭文/森本由美子

 

sumika_03『ついのすみか』

失踪した姉の恋人を家に招き入れ、夜ごと奇妙な逢瀬を重ねる妹。かつて男の腕のなかで意識を失いかけながら姉が言おうとした言葉とは何か。妹によって言い当てられるその一語は、どこか彼岸的な響きを伴って、井川における「異言」の系譜に刻まれるだろう。87年・第10回ぴあフィルムフェスティバル入選作品。能『二人静』の舞台写真に「ここに何ものかがひそんでいる」と感じ、脚本を執筆。撮影の福本淳は家庭用電球のみで照明を設計し、録音の山岡隆資は布団を何枚も被って同録に挑戦。出演の飯塚裕之はイメージカットも担当し、あさりに話しかけながらレンズを向けたという。

1986年/8mm/カラー/35分
出演:北沢典子/飯塚裕之/荻原かおる

 

nemimi_02『寝耳に水』

SM雑誌の投稿欄を端緒に、事故死した恋人・弘美をめぐる妄想にとり憑かれた長島。その話を聞く坂口もまた、危険な夢想に引き込まれていく。映画美学校フィクション・コース第2期高等科コラボレーション作品。謎めいた「異言の女」と、彼女への妄執が男たちの間で感染していく着想は、田坂具隆監督のオムニバス映画『冷飯とおさんとちゃん』(65年)「おさん」篇から得た。「裸もからみもないポルノ映画」として企画されたが、かつてのサークル仲間たちを亡くした実体験を反映した、「青春の終わりを描いた青春映画」となったという。

2000年/16mm→BETACAM/カラー/32分
出演:長宗我部陽子/山崎和如/清水健治/山之内菜穂子
*Blu-ray(SD画質)での上映

 

nishi_02『西みがき』

死んだ友人の西口が忘れられない粕谷は、西口の姉・幸子と出会う。西口について語り合うなかで深まる二人の関係にも、やがて亀裂が生まれていく。映画美学校フィクション・コース第8期高等科コラボレーション作品。一人の死者を挟んで対峙する二人の構図は『寝耳』と重なるが、『寝耳』の消えかけの口火のイメージとは対照的に、本作の焚火は喪の仕事の後に続く彼女たちの生を予感させる。それは「股覗き」の身ぶりが馬跳びになるような変化の一瞬を——流れていく時間そのものを、井川が慈しむように写し取っているからだろう。

2006年/DV/カラー/53分
出演:本間幸子/粕谷美枝/西口浩一郎/中村聡/前田怜子
*Blu-ray(SD画質)での上映

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主催:北岡稔美、映画美学校2期生有志

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