絵描きのモラトリアム
第2期ドキュメンタリー・コース基礎科作品
2002年(約25分)DV
監督・編集:帯川雄生
撮影・録音:飯田幸代 尾上愛彦 瀬野達也
【監督のことば】浅井裕介という絵描きがいる。卒業した高校に美術コースの教員補助として雇われ、若いながらも仕事として絵を描ける環境にある。彼は至るところで絵を描き続けている。私も絵を描いてみた。そして愕然とした。なぜ彼は絵を描き始めたのか、なぜそんな絵を描くのか。撮影中彼の口から引き出そうと躍起になっていたことは、筆を動かすのにも理由があるだろう、という絵を描かない者の一方的な思い込みでしかなかったからだ。絵は必ずしも劇的に生まれるのではない。何気なく引いた線が絵になることもあるのだろう。すべきことは妙な詮索ではなく、絵を描きたいという私的な欲求が外の世界に起ち現れてくる有様を捉えることのはずだ。現代において作品を創るとはどういうことなのか、この記録は我々が外の世界からその決断を猶予された数日であると言えば言えなくもない。