姉と弟
2014/HD/16min
フィクション・コース第17期初等科修了制作作品
監督・脚本:中村佳寛
制作:深山百合香、中村新 演出:落合彰吾、久間木達朗 撮影:坂田科申、永野誠斗、飯島明 照明:大谷祐人、木村清孝 録音:高橋聡人、小塚圭一 編集:坂田科申 整音:飯島明、木村清孝
キャスト:田村幸大、竹之下桃、新井秀幸、藤井治香、葛野雅貴
暗黒世界に連れ去られた姉を探し求める弟の姉への思慕が、いつの間にか取り返しのつかないところまで行き着いてしまうそのすべての過程は、天が仕組んだとしかいいようのない運命のいたずらなのか、それとも弟自身の欲望が秘かに望み企んでいたことが実現されただけなのか・・・・・・おそらくその両方であって、どんなに平凡なものであってもすべての「人生」はそのように作られるのだと思う。だから少し荒唐無稽に見える部分があったとしても、それはこの映画が 「メロドラマ」だからなのではなく、現実の「人生」がそういうものだからなのだ。しかし、メロドラマの典型のような題材を使いながらこの映画は少しも泣けない。観客を泣かそうとするようなちゃちな料簡はあの姉弟にも作者たちにもなかった。彼らは人生の仕組みそのものに体当たりを食らわせようとしたのだ。
*西山洋市(フィクション・コース講師|映画監督『kasanegafuti』『稲妻ルーシー』『ぬるぬる燗燗』)
父の借金のカタに連れ去られた姉カナはシバキ屋で働かされている。彼女を追って、都市にやって来た弟のトキ。女性向けポルノ映画監督の大学生ノリに俳優として勧誘され、金の為に出演する。カナの居場所をノリから感じ取ったトキは彼に迫り、シバキ屋に踏み込むが……。溝口の『山椒大夫』をモチーフにした作品。