受講期間:2014年11月12日(水)-2015年2月27日(金)

映画が発明されて120年あまり。現在映画制作はデジタルでの撮影が主流となっています。
デジタルの利点のひとつとして「撮影しているものがその場で見れること」があります。
しかしフィルムでの撮影は、その場で見られないという不便さと引き換えに、撮影現場に関わる全ての人が「何を映っているのか」を想像しながら撮影を行います。
この「想像すること」が、映画を作っていく上でとても重要な要素です。
「16ミリフィルムによる映画制作者育成ワークショップ」では、16ミリフィルムを使用し、映画制作の基礎を学んでいきます。
デジタル撮影では決して得ることの出来ない「不便さ」と「想像力」を是非体感してください。

本ワークショップは映画づくり初心者を対象としています。
映画についての詳しい知識は必要ありません。
映画業界にて現役で活躍する講師陣が懇切丁寧に指導します。

講師からのメッセージ

 この講座は、募集人数10名という少人数の講座として開講します。撮影実習は主に、廃校になった小学校の校舎で行われます。前半の実習はサイレントで、後半の実習は同録(同時録音)で撮影します。どちらも、短編ながら、ひとつの「作品」を目指して撮っていきます。

 映像の世界はデジタル化が進んで久しいですが、これから「4K」あるいは「8K」になって画質が上がっていくと、画面のすみずみまで計算された撮影技術が必要になります。だから露出やフォーカスを、メーターで厳密に測りながら撮ることになるんですね。つまり、それらの技術を持った人材が、今よりも必要になるんです。カメラマンだけでなく、撮影助手や照明スタッフが、フィルム時代の撮り方を余儀なくされるという逆行現象が、これから起きようとしています。映画美学校は現役で使える16mmカメラを複数所有している、数少ない学校です。創立から20年近く蓄積してきたフィルム撮影のノウハウを、ぜひここで受け継いでいけたらと考えます。

 デジタルカメラで液晶モニターに慣れている人にとっては、貴重な体験になると思いますね。今撮っているものがどんなふうに映っているのかを、皆が頭で想像しなくてはいけないから。400フィートのフィルムは、尺にして10分程度ですから、フィルムチェンジの時間も必要なわけです。それに、カタカタカタ……とカメラが回る音がするので、その場にいる全員が「今、回ってる感」を共有できるのも大きいと思います。撮影して、現像して、ラッシュを観る時の緊張感と、撮影時の狙いがうまくいっていた時の達成感は、デジタルカメラではなかなか味わえないものです。「フィルムが良くてデジタルは良くない」ということではなく、フィルムにはどんな味があって、どんな空気が生まれるのかを、ぜひ実際に体感してほしいと思います。(談)

山田達也(カメラマン/映画美学校講師)

カリキュラム

このワークショップでは、16ミリ映画の撮影、照明、編集などの基礎技術を学んでいきます。出来上がった作品は講座修了後にDVDで受講生全員に配付します。

曜日
時間
内容
2014/11/1213:00〜開講ガイダンス
11/1413:00〜フィルム映画史
11/1913:00〜フィルムの魅力
11/2113:00〜企画・シナリオ講義
11/2613:00〜演出講義
11/2813:00〜撮影技術基礎1
12/313:00〜撮影技術基礎2
12/513:00〜照明基礎1
12/1013:00〜照明基礎2
12/13終日撮影実習1
12/20終日撮影実習2
12/21終日撮影実習3
12/2413:00〜ラッシュ講評1
12/2613:00〜編集論
2015/1/713:00〜編集実習1
1/913:00〜編集実習2
1/1413:00〜完成講評1
1/1613:00〜撮影技術基礎3
1/2113:00〜撮影技術基礎4
1/2313:00〜照明基礎3
1/2813:00〜録音基礎1
1/3013:00〜録音基礎2
1/31終日撮影実習4
2/1終日撮影実習5
2/413:00〜ノンリニア編集講義1
2/7終日撮影実習6
2/1313:00〜ラッシュ講評2
2/1813:00〜ノンリニア編集実習1
2/2013:00〜ノンリニア編集実習1
2/2713:00〜完成講評2

※講師の都合により講義日程や内容が変更する場合がございます。

講師

山田達也(撮影)、臼井勝(録音)ほか。

ゲスト講師

director asato11/19(水)「フィルムの魅力」安里麻里(映画監督)、月永雄太(撮影)

安里麻里
1976年、沖縄県出身。横浜国立大学在学中に、映画美学校に第一期生として入学。当時の講師だった黒沢清、塩田明彦、青山真治らに師事する。04年、『独立少女愚連隊』で長編映画監督デビュー。続く『地獄小僧』(05)はフランクフルト映画祭に出品された。09年には『呪怨 黒い少女』の監督・脚本を担当。そのほかの作品に『トワイライトシンドロームデッドゴーランド』(08)、『ゴメンナサイ』(11)、『携帯彼女』(11)、『リアル鬼ごっこ3・4・5』(12)、『バイロケーション』(13)がある。アクションとホラーの丁寧な演出が高い評価を受け、今最も期待されている若手日本映画監督の一人。

月永雄太
1976年、静岡県出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。主な作品に『パビリオン山椒魚』(06)、『乱暴と待機』(10)、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(10)、『NINIFUNI』(11)、『東京公園』(11)、『明日泣く』(11)、『キツツキと雨』(11)、『その夜の侍』(12)、『ジョーカーゲーム』(12)、『バイロケーション』(13)、『好きっていいなよ』(14)、『ぶどうのなみだ』(14)など。公開待機作に、『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』(15年春公開)、『きみはいい子』(15年公開)がある。

1022-112/27(金)「編集論」鈴木歓(編集)
日活撮影所編集部退社後、菊池純一とJKS編集室設立。その後フリー。若松孝二、黒沢清、廣木隆一などの監督作品で編集を担当する。

 

 

募集要項

受講資格:18才以上であれば学歴、経験の有無は問いません。
募集人員:10名(先着順につき、定員になり次第締切ります)。
講義時間:基本毎週水・金曜日の13:00〜16:00。ただし実習は土日の終日で行います。
教室:映画美学校(渋谷)、(株)ナックイメージテクノロジー、(株)東京現像所、他。
受講料
108,000円(税込/保険料込み) ※原則一括払い ※一旦納入された受講料は返金できません。 
申込方法:受講申込書に必要事項を記入の上、顔写真2枚(受講申込書貼付用と受講証用)を同封し映画美学校にご郵送、もしくはご持参下さい。追って受講料のお支払い方法をお知らせします。ご入金が確認された時点で受付完了となります。

 

受講申込書のダウンロードはこちら

 

※講義開始に関わらず、申込者の自己都合での解約による受講料の返金は原則お断りします。但し疾病等、本校がやむを得ないと認める事由については、ご相談に応じます。

■主催:文化庁(平成26年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業)
■制作:特定非営利活動法人映画美学校
■協力:ユーロスペース、アテネフランセ文化事業株式会社、(株)東京現像所、(株)ナックイメージテクノロジー


お申し込み&お問い合わせ
映画美学校
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS
電話番号:03-5459-1850 FAX番号:03-3464-5507
受付時間(月ー土) 12:00-20:00
ウェブサイトからのお問い合わせはこちら