現在最も熱い注目を浴びていると言ってよい「ナカゴー」の舞台は、出ている役者が徹底的に上手く見える。もちろん実際に実力もあるのだけれども、主宰の鎌田君の細かい演出が効果的なのだ。Aが感情的な芝居をしている時、Bはどう考えているか、Cはどうかという場面ごとの設定が十二分に練られている。そして、その練り方がなんのためであるかがよくわからないから、おかしい。リアルであることが、そこでは狂気になる。

いとうせいこう〔作家・クリエーター〕

まだまだ経験値の足りない自分でも、多くの俳優さん、俳優志望の方々と知り合ってきて、やはり演劇を、舞台を一度でも経験しているひとの強さは必ずあると思っている。映画美学校の、つまりは映画や映像俳優を志しているかもしれないひとたちに演劇公演をさせる意味は、きっと数年後に活躍しているであろう卒業生から見てとれるに違いない。しかも今回はナカゴーの鎌田さんときた。受講生のキャラを生かすのか、無視するのか。単純に楽しみです。

今泉力哉〔映画監督〕

鎌田さんは天才的センスをお持ちのかたです。というとなんだか安い宣伝文句なんですけれど、そうなのです。芝居のつくり方はとてもストイック、照明やら雑務まで、なんでもかんでも自分でやっちゃうし、その姿はたいへんにかっこいいのです。
ほんとにいつ休んでるのかわからないくらいのハイペースで芝居を打ってる鎌田さん、数年後にはもしかしたらまったく別のことやってるかもしれない、先のことも楽しみですが、ほんとに、いま、みておいてほしい人です。

上田遥〔俳優/ハイバイ

アクターズ・コースの修了公演というやつに、密着取材をしたことが過去3度あります。最初はみんな、2時間なら2時間、自分のせりふを間違わずに言い切ることに夢中です。でもいつ頃からか、そんなのわりとどうでもよくなります。それよりも、いかに「ほんとう」の状態でそこに立つか。その一点のみを全員が目指すようになります。すべては、そこから始まります。そして観客は悟るのです。俳優の第一歩はダンスでも腹式呼吸でも滑舌でもない(いやもちろんそれも大事なのだけれど)。私たちは、「ほんとう」を見せてくれる俳優にこそ、とことん騙され倒したいのだと。

小川志津子〔フリーライター〕

『友情』観れる日がすごく楽しみです。私は原案で参加していたのですが、鎌田さんから「細部の作り込みとそれを壊すグルーヴ感」と言われたことが一番強く印象にのこっています。熱量や全力さはお客さんに伝わると思うので、体力もとても消耗するかと思うのですが、出演者の皆さま鎌田さん、公演のご成功を応援しております。

川崎麻里子〔俳優/ナカゴー〕

鎌田くんは会う度に大きくなっていたり小さくなっていたりと見逃せないひとです。
鎌田くんの言動や生活、すべても見逃せません。
鎌田くんの作品もぜんぶ見逃したくありません。
その鎌田くんが映画美学校のひとたちとつくるお芝居、これは絶対に見逃せません。
映画美学校と鎌田くん、美がつくだけで鎌田くん、違和感を感じます。
タイトル『友情』素晴らしいです。
どんな友情物語なのか絶対に見逃せないです。
皆様、鎌田順也作品をどうぞ宜しくお願い致します。

墨井鯨子〔ほりぶん〕

わたしたちの、生活をする時間と、芝居をする非日常の時間との、そのあいだに川が横たわっています。
その川岸をずっと歩いていくと、橋が小刻みにあって、生活と非日常を縫い縫い行く事が出来ます。
間にあって、私の此方と彼処を繋げてくれるのが、仲間だと思います。
仲間というのは、生活と非日常をつないでくれる橋なのだと思います。
「友情」、どんな舞台になるのでしょうか?

鈴木卓爾〔俳優・映画監督/アクターズ・コース特別講師〕

僕が鎌田さんの演出を受けたのは、岸田國士の「紙風船」で、その稽古が始まったと同時に鎌田さんは「紙風船を割る」という演出を加えたのですが、僕にはそれが岸田國士に向けた宣言のように感じたことを覚えています。
二週間の稽古を経て、元々の”紙風船”は跡形もなくなりましたが、暴力的でエモーショナルにも関わらず不思議と”紙風船”の本質を抽出した、何とも愛に溢れた作品になりました。
鎌田さんは、俳優が技術に走れないような演出を付けてくれます。舞台に立つ俳優は、役者である前にその人間性を舞台上にジリジリと炙りだされてしまいます。
今回の「友情」も役と一緒に、俳優さん自身が炙り出されるジリジリした舞台なんだろうなぁと思うと、今から楽しみです。

武谷公雄〔俳優〕

映画美学校の映画、演劇はできるだけ観るようにしてます。同時代の「面白い」を地道にピュアーに探ってる場所なイメージ。贅沢。あと色んな現場で卒業生にめっちゃ会う!から気になる!しかも「静かな演劇」イメージが強かったんですが今回ナカゴー鎌田さん演出……!……!?

西山真来〔俳優〕

鎌田さんの作品は一見常識のたがが外れた非現実的な世界を描いているような印象を人に与えるかもしれない。が、この世にありえない世界を立ち上げるために、鎌田さんは俳優たちにリアルを厳しく求める(そこからいかに豊かなものを僕は学ばせてもらったことか!)。であるからこそ、そのユーモアは非常にエモーショナルな体験を観客にもたらしてくれるのだろう。ありえないことなんて実はないんだ、とまるで奇跡が等身大に出現してしまう。「目撃者」になりたくて、僕は何度も鎌田さんの舞台に通ってしまう。

古澤 健〔映画監督・脚本家/映画美学校アクターズ・コース主任講師〕

映画美学校出身の俳優には、舞台に存在の錨をどかっと下ろすことのできる方が多い、と常々思わされてます。そういう俳優が現れると舞台はリアルにどこにで も変貌するので惚れ惚れするのですが、これはつまり半端でないモチベーションでもって環境(含相手役)とガチンコがらみする修練が積まれているのかなと。 サバイバリーな(まるで生死が問われているような)展開を見せる鎌田さんの世界で皆様こそのご活躍を楽しみにしております。

古屋隆太〔俳優〕

鎌田さんの作品をまだ観たことがない人にその魅力を言葉で説明するのは簡単なことではありません。お芝居を観ていても途中から今自分が何を見させられているのかわからなくなることがしばしばあるからです。5年前に初めて観た時は何が起きているのかまったく理解できませんでした。しかし2度目に観てあまりの面白さにハマり、以後10回以上観続け、私の観劇人生の中では「ナカゴー以前と以後」に分かれるくらいの大きな存在になりましたが、未だに鎌田さんの描く単純な面白さを遥かに超えた世界をどう理解していいのかわからないままでおります。今回上演される『友情』の基になった『堀船の友人』も傑作でしたが、その先に何が待っているのか。『友情』。ものすごく楽しみです。

宮崎吐夢〔俳優〕

大学でどうしようもない自主映画を撮っていた僕は、映画美学校に入って監督が芝居を演出しているということを初めて知りました。
映画美学校にアクターズ・コースが出来て、どうやらそういう事でもないんじゃないか?と思うようになりました。
俳優が何かを発している。
本で読んだ巨匠や作家の方法論はとりあえず置いといて、今、この人たちと映画を作りたいと思いました。
随分遠回りしたけれど、当たり前の事からまた映画を作っていきたい。

冨永圭佑〔映画監督・脚本家「ライチ☆光クラブ」/映画美学校フィクション・コース修了生〕

ここは映画美学校アクターズ・コース。
既に舞台経験のある人から初心者まで、あらゆる人が集まります。
演ずるということ、この場に「居る」ということ。彼達彼女達は素晴らしく熱心な講師の方達と共に日々試行錯誤を繰り返し、学んでいます。

しかし修了公演の稽古が始まると、ここはもう学校ではなくなります。
演出家が本気で役者に求め始めるからです。
一人の役者として一人の演出家と向き合っていくその光景を、僕は数年前アシスタントとして、毎日のように目にしました。

今も稽古場である地下のスタジオからは緊張と熱気が漂い立ち昇り、魅力的で力強い声が聞こえてきます。鎌田順也さんと今期の受講生のコラボレーション、どんなことになってしまうのか、是非この目で見たいと思います。

石川貴雄〔アクターズ・コース第二期ティーチングアシスタント〕

修了公演も今年で5回目。アクターズ生は、修了公演を終えると顔つきが変わると言われる。確かにそうかもしれない。修了公演の稽古は勿論のこと、アクターズ・コースのカリキュラムはすごく贅沢で、学べることがいくらでもあるし、映画美学校という場は、芝居をしっかり捉えて感想を言葉にしてくれる人がたくさんいる。役者として濃密な時間を過ごした後の舞台。今期の受講生がどんな空間をつくり、周りとどんな影響をし合うのか、とても楽しみです。

飯野舞耶〔アクターズ・コース第2期高等科修了生〕

アクターズ・コース公演も早いもので5年目となりますね。

私の映画美学校への入り口はまさに、1期生の公演『カガクするココロ』でした。
私もこんな風に演技ができたら、楽しいだろうなぁとワクワクした気持ちで観ていたのが思い出されます。

そして、3年前の2期生の公演『革命日記』で、松井さんから演出されたことや、同期たちと反応しながら、演技をしたことは今でも鮮明に覚えていて、同じ授業を受けて来た同期と一つの舞台を作り上げたことは、他にはない贅沢なことだったなぁと思い出されます。
 
それから、3期、4期と公演を観て来ましたが、毎年、同じ劇団の公演を観に行っているような空気を感じます。違う演出家なのに不思議ですね。
もしかして、単に、私が知ってる顔が出ているからなのでしょうか。
もしかして、地下スタの空気が染み付いているからでしょうか、同じ授業を受けて来た人たちが自信と戸惑いを背負っているからでしょうか。

こんな想いを抱えながら、今期生が鎌田さんと作り上げる舞台を楽しみに拝見したいと思います。

長尾理世〔俳優/アクターズ・コース第2期高等科修了生〕

アクターズ・コース2015年度公演『友情』 3/3(木)〜3/6(日)アトリエ春風舎にて上演
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