映画美学校に入学したきっかけを教えてください。

映画を観る側から、つくる側になってみようと突然思い立ったのが自分の中でのきっかけです。それまでは映画は趣味として観るものだったので、趣味のままにするのか、将来仕事にしたいのか、やってみないことにはよくわからないなと思い、仕事をしながら通える映画制作の学校を探しました。ネットで映画美学校をみつけて、ちょうど開講直前だったのでそのまま勢いで前日に申し込みました。

映画美学校に入学して、どんな感想を持ちましたか?

入りたての時は、作品や映像に詳しい人達も結構いたので、正直焦りました。でもすぐにグループ作業があり、あっという間にみんなと仲良くなって、気さくに色々と聞いたり教えて貰ったりして助けられました。いろんな人達と一緒に作業するのは新鮮で面白かったです。でも、楽しいだけでは映画はそう簡単に作れないことがわかったので、修了制作を終えた一年後の感想は、「みんなでやって楽しい」+「なにかと大変で苦しい」÷2といった感じです。

印象に残っている授業はありますか?

最初の「5分ビデオ課題」は、あれこれ深く考えずに、とにかくこれが撮りたいという純粋な衝動だけで自由に撮影したのが最高に楽しくて、すごくよく覚えています。初めてカメラを手にして、セリフも演技もカメラの操作もカットも編集も今思えば全部めちゃくちゃでしたが、あの自由な気持ちを味わえたのはあれが最初で最後だった気がして、今でも大切にしている感覚・体験です。

あと、「シナリオの授業」は数回ありましたが、高橋洋さんのクラスはネット上に掲示板も作り、みんなが自由にアイディアやプロットを書いたり、質問して意見をもらうなどして授業外でも濃い時間をすごしました。シナリオは学校の授業内に書くわけではなく、みんなそれぞれの場所や自分の時間をみつけて書いてくるのですが、学校を離れても、その掲示板を覗けばそこに授業があり、いつでもシナリオモードになれたのがよかったです。思考やイメージを言葉・文章にして書き出すいい訓練にもなりました。いつかの土曜に昼過ぎから夜の10時頃まで、授業時間を遥かに越えて行われた地獄の講評は忘れられません(笑)。シナリオとともにみんなで砕け散りましたが、おかげで鍛えられました。

そして、最後の「修了制作」。言葉では言い表せない、一番の授業でした。

映画美学校の特色はどんなところでしょうか?

働きながら夜や土日に通えるところと、思う存分取り組めるところだと思います。授業には間に合わずとも、21時頃に打ち合わせのために行き、いい加減に閉めますよー、と終電近くに追い出されるまで毎日作業させてもらえるのはとてもありがたいです。

授業も課題もわりと自由です。授業に出ない、課題を提出しないからといって、別に怒られることもなく、ただスルーされます。休んだ分のプリントはちゃんと貰えますけど。課題を提出した人は講評して貰えますし、授業や講評で講師にたくさん質問して食いつけば、その分ちゃんと生徒と向き合って意見を貰えます。作品も、みんなで本気でやれば、よりいいものが作れます。なので、良くも悪くも自分達次第な自由な学校だなーと思います。

あと、フィルムで撮影できるところも特色だと思います。