それからどんな国のものでもいいのですが、大衆映画を見て下さい。大衆映画から学ぶことはたくさんあり、それは必ず皆さんが、映画を撮るとき道具として役に立つでしょう。しかし、大衆映画を見るときでも、価値尺度の上下関係をつけて見てはいけません。ただ、自分の好きな映画を見ればいいのです。例えば、青山真治の方がかっこいいだとか上だとか考えないで下さい。すべて同じです。自分が好きな映画を自分のやり方で見ればいいのです。たとえそれが10歳の時に見た映画であっても25歳で見た映画であっても構いません。大衆映画を見ること、映画を好きになり、その好きな映画を見ること。そうすれば、映画の方があなたを好きになってくれる、そういう映画に出会うことができると思います。今週は青山真治の映画を見て、来週はジュリア・ロバーツの映画を見て、その次はワイズマンのドキュメンタリーを見て下さい。 (2006年2月1日「特別講義」より) ※本講義は「すべては映画のために!/アルノー・デプレシャン発言集」(港の人/ 新宿書房刊)に完全採録されています。