ふつうの家
第0期ドキュメンタリー・ワークショップ作品
2000年(45分)DV→BETACAM
監督:長谷川多実
出演:長谷川三郎 長谷川恵子 長谷川起世 長谷川実世 高田理恵
【解説】娘は図に乗って父のやさしさにビデオを突きつけた。カメラの庇護を得て、娘は父に不満をぶつけるようになった。それでも父は胸襟を開くしかなかった。娘の不満とは、「ふつうの家」と違いすぎる家のことだった。父母とも部落解放同盟の専従職員として解放運動の先頭に立つ長谷川家であったが、家ではよき父、賢い母である。一方、娘・多実は、子供の頃から解放運動の“期待される娘像”を演じてきた自分が嫌になり始めた。娘は、食卓では解放運動の話題を口にしないというルールを作り、父母はそのルールに従うことになった。ところが、そのルールはいつしか破れ、長谷川家で小さな漣(さざなみ)が立つ。そして、娘は家を出る。娘・多実のビデオは父を見つめる。見つめられた父は怒りながらも喜びを隠せない。こうして、「ふつうの家」はどの家庭でも抱える父娘の問題の見事な対話になったのである。