2010年度ドキュメンタリーコース修了生、 澤佳一郎さんの監督作品『そこにあるもの』が、池袋シネマ・ロサにて11月16日(土)〜11月29日(金)の期間に上映されます。

表-アウトライン後『そこにあるもの』
東京都青梅市にある盲養護老人ホーム「聖明園曙荘」。
そこでは先天盲、後天性失明、ロービジョンの方々含めた100名ほどが暮らしています。
朝はラジオ体操から始まり、午後は様々なクラブ活動や行事を楽しむ一日。
普段は見ることのできない施設内での暮らしや、ここで暮らす方達の「見えないことについて」の世界が描かれていく中、「見えないとはどういうことか」という問題から少しずつ「物事の見方」についての変化が生まれてくるともなっています。

sokoni_arumono_rimen〈作品情報〉
(2010年/日本/68分)
英題:scene in the dark
監督・撮影・編集:澤 佳一郎
撮影:曽我由香里 録音:須藤慎
音声ガイド:しゅはまはるみ
制作:映画美学校、 reclusivefactory
配給:株式会社 ロサ映画社
協力:社会福祉法人聖明福祉協会 盲養護老人ホーム聖明園曙荘
後援:社会福祉法人日本視覚障害者団体連合(旧 日本盲人会連合)
助言:諏訪敦彦、筒井武文、塩崎登史子、内藤雅行©2010 reclusive factory

〈上映館〉
・池袋シネマ・ロサ(11月16日〜11月29日)
・名古屋シネマスコーレ(時期未定)

〈チケット料金〉
前売り券(1,300円)、当日券一般(1,500円)


〈作品コメント〉

諏訪敦彦(映画監督)

​「そこにあるもの」の映像に初めて出会ってから、長い年月が流れた。
しかし時を隔てて今再びこれらの映像を見はじめた途端、この人々の声、身のこなし、笑い方、庭の草花の佇まい、施設の廊下に流れる時間、そんな細部までもが瞬間にありありと思い出された。
まるで彼女たちがずっと私の中に棲んでいたかのような不思議な感覚。
何か特別な物語が語られるわけではない。声高な主張もないし、始まりも終わりもない。ただ「見えない」世界を生きている彼女たちの時間と、見たいものしか見ようとしない私たちの時間が、やがて溶け合って地続きの時間として映画の中に流れてゆく。
ささやかだけれど、それは稀有な体験であると思う。そっとバラの花弁に手で触れながら花を楽しむ彼女を見つめる観客の瞳に今また彼女たちの時間が流れ始める。
そして、きっと伊藤さんや、初枝さんは、朗らかな笑い声と共にずっとそこに棲み続けるのだろう。

飯塚俊男(映画監督)

映画美学校において、ドキュメンタリー制作コースの募集が中止になって久しいが、この映画は、2010年そこで学んでいた人たちの卒業制作の作品である。
今見ても、映画の初心が表現されていて、すがすがしい気持ちで見終えることができた。
映画は、とりわけドキュメンタリー映画は、作り手と被写体との関係性が物語の軸になるが、目が見えない世界で生きている人に向き合う作者の心のあり方が素直で、共感を覚える。
改めてドキュメンタリー映画を学び、深めていくことの大切さを感じさせてくれた。

〈公式サイト〉
https://www.reclusivefactory.com/

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