「小川紳介と小川プロダクション」全作品上映とレクチャー
2015年5月〜7月(全14回)
会場:アテネ・フランセ文化センター
ナヴィゲーター:マーク・ノーネス(ミシガン大学教授)
Navigator :Markus Nornes(Professor/University of Michigan)
「Forest of Pressure: Ogawa Shinsuke and Postwar Japanese Documentary(圧殺の森 小川紳介と戦後日本のドキュメンタリー)」(ミネソタ大学出版/未邦訳)の著書ミシガン大学教授マーク・ノーネスさんをナヴィゲーターに、没後23年を経て世界的な評価の高まる小川紳介と小川プロダクションの全作品を上映します。
Messages from Markus Nornes
「小川紳介の映画は、1960年代から80年代の日本社会の多大な変化を伴い、緩慢で驚異的な変容を遂げた。彼の映画は、戦後の日本の歴史を理解するため だけでなく、ドキュメンタリーの全ての可能性を含んだ教本なのだ。年代順に観ていくことは、小川紳介の映画を考えるには最高の方法である。この機会をお見逃しなく!」
The films of Ogawa Shinsuke underwent a slow and astounding transformation, hand in hand with the vast changes in Japanese society between the 1960s and 1980s. They are a textbook not only for understanding postwar Japanese history, but also all the potentialities of the documentary form. For these reasons, there is no better way to view them than in chronological order. This is your chance!
会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)
開催日:全14回 火曜日/木曜日(開講しない週もございます。日程をご確認下さい)
開始 :18:00〜
解説 :毎回、マーク・ノーネスさんのレクチャー(日本語)があります(18:00から約15分間)
料金 :1回券 一般1200円 アテネ・フランセ文化センター会員1回800円
全回(14回)通し券 一般・会員10,000円
アテネ・フランセ文化センター会員に登録ご希望の方は当日受付にてお手続き下さい。
(年間1500円/有効期限2016年3月末)
スケジュール
(上映時間の都合により年代順でないプログラムがあります)
第1回 5月12日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『青年の海 四人の通信教育生たち』1966(56分)
『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』1967(105分)
第2回 5月14日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『現認報告書 羽田闘争の記録』1967(58分)
『日本解放戦線・三里塚の夏』1968(108分)
第3回 5月19日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『パルチザン前史』1969(120分)土本典昭監督作品
第4回 5月21日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『日本解放戦線・三里塚』1970(141分)
第5回 5月26日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『三里塚・第三次強制測量阻止闘争』1970(50分)
『三里塚・岩山に鉄塔が出来た』1972(85分)
第6回 5月28日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『三里塚・第二砦の人々』1971(143分)
第7回 6月2日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『三里塚。辺田部落』1973(146分)
第8回 6月4日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『どっこい!人間節 寿・自由労働者の街』1975(121分)
第9回 6月9日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『クリーンセンター訪問記』1975(57分)
『牧野物語・峠』1977(43分)
第10回 6月11日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『三里塚・五月の空 里のかよい路』1977(81分)
第11回 6月23日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『牧野物語・養蚕編』1977(112分)
第12回 6月25日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『ニッポン国古屋敷村』1982(210分)
第13回 7月7日(火)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『1000年刻みの日時計 牧野村物語』1986(222分)
第14回 7月9日(木)
18:00〜レクチャー
18:15〜上映
『京都鬼市場・千年シアター』1987(18分)
『映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭’89』1991(93分)飯塚俊男監督作品
※全作品16mmプリントで上映いたします。
会場&お問合せ:
アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)
東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4階
JR/地下鉄 御茶ノ水・水道橋駅から徒歩7分
小川紳介
1936年生まれ。60年、岩波映画製作所と助監督契約。黒木和雄監督作品「わが愛北海道」(62)等に参加。60年代初頭、東陽一、土本典昭、黒木和雄らと映画研究グループ「青の会」結成。64年、岩波映画製作所との契約を解消。「青年の海ー四人の通信教育生たち」(66)を自主製作。翌年には「圧殺の森ー高崎経済大学闘争の記録」「現認報告書ー羽田闘争の記録」を相次いで発表。同年、小川プロダクションを設立し、三里塚での新東京国際空港建設反対闘争の取材を開始。68年、「日本解放戦線・三里塚の夏」を発表。以後、三里塚農民と生活を共にしながら、「三里塚」シリーズ七作を連作。その後、小川プロのスタッフらと共に山形県上山市牧野に移住。82年、「ニッポン国古屋敷村」でベルリン映画祭国際批評家連盟賞受賞。86年、最後の長編監督作となる「1000年刻みの日時計ー牧野村物語」を発表。以後も、山形国際ドキュメンタリー映画祭の実現に奔走するなど映画的活動を持続していくが92年に死去。その作品は、今日も世界の映画人に多くの影響を与えている。
青年の海ー四人の通信教育生たち
Sea of Youth 1966年(56分)
監督/小川紳介
撮影/奥村祐治
通信教育制度改定反対闘争の中で、学ぶこと、働くことを改めて問い直す4人の通教生。その運動の行方と逡巡する心の軌跡を追って、キャメラもついに駆け廻りだす。
圧殺の森ー高崎経済大学闘争の記録
The Oppressed Students 1967年(105分)
監督/小川紳介
撮影/大津幸四郎
高崎経済大学の学園闘争の記録にして、60年代後半の全国的な学園叛乱の予兆に満ちた自主製作映画。効果的に使われた“盗み撮り”の手法と、小川はこの後訣別してゆく。
現認報告書ー羽田闘争の記録
A Report from Haneda 1967年(58分)
監督/小川紳介
撮影/大津幸四郎
第一次佐藤首相訪米阻止闘争の中で起こった京大生の死の真相を探る。「権力との衝突の際に、(キャメラは)決して警察権力と学生の間に横位置に居るべきではなかった」。(小川)
日本解放戦線・三里塚の夏
Summer in Narita 1968年(108分)
監督/小川紳介
撮影/大津幸四郎
「三里塚」シリーズの第一作。「全部(のショットを)、農民の列中から、その視座から撮り、権力側を撮るにも、正面から、キャメラの存在をかけて、それとの対面で、すべてを撮った」。(小川)
パルチザン前史
Pre-Partizan 1969年(120分)
監督/土本典昭
撮影/大津幸四郎
機動隊との闘争やパルチザン軍事訓練の様子、そして皮肉なほど平穏な京都市民の姿など、活動家・滝田修の姿を通して60年代の学生運動を映し出す。小川プロダクションが製作。
日本解放戦線・三里塚
Winter in Narita 1970年(141分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
通称「三里塚の冬」。離脱者が出る中で、空港反対派農民に徐々におとずれる疑問・空虚感。官憲との衝突を繰り返しながらも、戦いは自己自身の内面へと向けられてゆく。
三里塚・第三次強制測量阻止闘争
The Three-Days War in Narita 1970年(50分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
自ら糞尿弾と化して測量を阻止せんとする農民たち。キャメラは文字通り彼らに徹底的に伴走する。闘争が激化し、緊急に撮影・編集・上映されたシネ・トラクト。
三里塚・第二砦の人々
Narita: Peasants of the Second Fortress 1971年(143分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
破壊されるバリケード小屋。農婦らは自らを鎖で縛りつけて後退を拒む。地下深く掘られた壕の中、ロウソクの灯の下で抵抗が続く。マンハイム映画祭スタンバーグ賞を受賞した、シリーズ中の核。
三里塚・岩山に鉄塔が出来た
Narita: The Building of the Iwayama Tower 1972年(85分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
反対同盟を中心に計画された滑走路使用不能大作戦。滑走路南端にあたる岩山地区にみるみる60メートルの大鉄塔が築かれてゆく。
三里塚・辺田部落
Narita: Heta Village 1973年(146分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
“闘い”から“闘いの中の日常”へ。固い団結を誇る辺田部落に住みついたキャメラは農民の声を聞き撮りしてゆく。「古屋敷」「牧野」へ移行する分水嶺となったシリーズ第6作。
どっこい!人間節ー寿・自由労働者の街
A Song of the Bottom 1975年(121分)
構成・編集/小川紳介
撮影/奥村祐治
小川プロの若手スタッフが横浜・寿町に住みついた。寄せ場に集まる労働者=土を離れた農民の個人史が浮き上がる。「貧乏じゃ汚くならないね、人間は。貧すれば光るって、ほんとだよ」。(小川)
クリーンセンター訪問記
Interview at Clean Center 1975年(57分)
監督/小川紳介
撮影/奥村祐治
山形県に移り住んだ小川プロから上山市への名刺がわりの一本。新設ゴミ処理場のPR映画の体裁をとっているが、煤煙公害をめぐってキャメラは清掃作業員の視座から追求をはじめる。
三里塚・五月の空 里のかよい路
Narita: The Skies of May 1977年(81分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
三里塚へ4年ぶりに”里帰り”した小川プロは、依然つづく空港反対闘争とともに農地を荒らす自然現象にもキャメラを向ける。鉄塔は倒され、その上を五月の”赤風”が吹き過ぎる。
牧野物語・養蚕編
Magino Story: The Serculture 1977年(112分)
監督/小川紳介
撮影/原正
「お蚕さま」を育てる小川プロを、強力なコーチ・木村サトさんが指導する。やがて養蚕作業の中からサトさんの人生の軌跡が浮かび上がる。同録8ミリをブロー・アップした超文化映画。
牧野物語・峠
Magino Story: The Pass 1977年(43分)
監督/小川紳介
撮影/奥村祐治
山形在住の詩人・真壁仁の詩碑が蔵王に建った。刻まれた詩は「峠」。長廻しのインタビューを通して詩人の昭和史が語られてゆく。小川紳助の真壁仁にたいする親愛が伝わってくるような、心温まる小品。
ニッポン国古屋敷村
A Japanese Village-Furuyashikimura 1982年(210分)
監督/小川紳介
撮影/田村正毅
稲の凶作の原因を探るサスペンスフルな科学映画の前半から、村の古老たちが自分史を語り「ニッポン国」のフシギな姿が浮上する後半へ。ベルリン映画祭国際批評家賞受賞作。
京都鬼市場・千年シアター
Sennen-Theater 1987年(18分)
監督/小川紳介
撮影/牧逸郎
87年夏、土、藁、葦、丸太で出来た「1000年刻みの日時計」専用の映画館が京都に出現。この劇場を建設し、命を吹き込んだ若者たちを小川紳介が関西のスタッフとともに描く。
映画の都ー山形国際ドキュメンタリー映画祭’89
A Movie Capital, Yamagata International Documentary Film Festival ’89 1991年(93分)
監督/飯塚俊男
構成・編集/小川紳介 撮影/大津幸四郎
1989年秋、第一回山形ドキュメンタリー映画祭に世界各地の映画人が集った。映画祭の顔として駆け回る小川紳介。一方アジアの作家たちはタヒミック起草の「映画宣言」を採択して意気あがる。
主催:アテネ・フランセ文化センター 共催:映画美学校
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